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クラウド会計freeeのメリット・デメリット

全自動のクラウド会計ソフトとしてよく耳にするfreee。自動仕分に関する人口知能(AI)技術を業界で初めて取り入れたことでも話題になっています。このfreeeが提供する会計ソフトの説明会に先日行ってきました。説明会の内容としては、freeeについての紹介→会計ソフトの操作説明→PCを使用した会計ソフトの操作体験といった流れでした。以下、私なりに感じた点をまとめてみました。

良い点

  • 口座情報・クレジットカード情報をボタン1つで簡単に同期化
  • 自動仕訳の精度
  • 仕訳をタグという概念で整理
    • 口座情報・クレジットカード情報をボタン1つで簡単に同期化

従来の会計ソフトでも口座情報を取り込むことはできましたが、そのためには口座契約者が銀行から口座データを取得し、それを会計ソフトに取り込めるように加工して取り込む流れが一般的であり、ベタ打ちよりは早いけどある程度時間と労力を要するのが通常でした。freeeでは銀行やクレジット会社と連携することで、口座情報・カード情報をボタン1つでスムーズに取り込むことができ、大幅な工数圧縮につながると感じました。

      自動仕訳の精度

自動で仕訳を起こしてくれるといっても間違った仕訳を起こしていては話になりません。この点、freeeは摘要情報を単語に分解して認識し、各々の単語から想起される勘定科目を過去の処理実績に照らし合わせて推測してくれます。例えば、ガス代の摘要に「東京ガス」と記帳されていれば、これを「東京」と「ガス」に分けて認識し、「東京」からは旅費交通費の可能性が80%、水道光熱費の可能性が20%と推測。一方で「ガス」からは水道光熱費の可能性が100%と推測し、それらを組み合わせて最も可能性の高い水道光熱費として処理する、といった感じです。このため、定期的に発生する取引やどの会社でも一般的に出てくる取引についてはかなり高い精度で処理してくれるものと思われます。

      仕訳をタグという概念で整理

freeeでは摘要を書くのではなく、リストの中から該当するタグを選んでタグ付する形になります。これにより、従来の会計ソフトではできなかった摘要の内容で集計することが可能になっています。例えば、旅費交通費の摘要には内容に応じて「タクシー代」、「宿泊代」、「飛行機代」等をタグ付し、そのタグごとに金額を集計できますので、旅費交通費の変動理由を簡単に知ることができます。

悪い点、疑問に思った点

  • 自動仕訳はインターネットバンキングでのみ有効
  • 自動で仕訳を起こしてくれる点が逆に仇に
  • コストパフォーマンス
    • 自動仕訳はインターネットバンキングでのみ有効

当たり前ですが、自動仕訳をするためには口座を全てインターネットバンキングに代える必要があります。この作業が最大のネックと言えるのではないかと思います。インターネットバンキングに代えるためには全てのお客さんにお願いして振込先口座を変更してもらう必要があります。一部の取引先だけネットバンキングにすれば、整理が煩雑で逆に時間がかかることになるでしょう。また、現金でのやり取りは当然、自動仕訳されませんので、現金の取扱いの多い業種ではfreeeの有用性は低いといえます。

      自動で仕訳を起こしてくれる点が逆に仇に

freeeを使えば自動で仕訳を起こしてくれるだけにミスに気づきにくい可能性があります。また、経理担当者が自分で仕訳を起こす機会が減ることで経理担当者の経理能力が伸びなくなってしまう点も心配です。

      コストパフォーマンス

freeeの料金体系では、個人事業主プランが年間9,800円、法人プランが年間19,800円となっています(いずれも税込)。しかし、一般的な会計ソフトの場合、個人向けのものなら1~2万円、法人向けなら3~5万円が相場であり、バージョンアップ時に追加コストがかかることを考慮しても、freeeの料金は使い続けるほど割高になる気がします。

購入後のアフターケア

freeeは大規模会社や会計事務所ではなく、個人をメインユーザーとして捉えている感があります。となると、心配なのは購入後のサポート体制。利用者が多く、しかもその大半が経理に不慣れな方であると考えられますので、コールセンターに質問が殺到していつも繋がらない、質問メールを送ってもなかなか返信がないといった事態が想定されます。

メリットとなる場合

以上から、freeeを使用することでメリットがあるケースとしては、以下が考えられます。

  • これから起業する場合
  • さほど規模の大きくない会社や個人事業主で現金の取扱いが少ない場合
    • これから起業する場合

口座を最初からネットバンキングにすれば最大のネックを回避でき、経理の知識が少なくてもある程度正確な記帳が可能になる

      さほど規模の大きくない会社や個人事業主で現金の取扱いが少ない場合

取引量が多いほどイレギュラーな取引も多く発生するため、freeeの強みである自動仕訳が生かしにくいと考えられます。また、上記でも書いたように現金の取扱いが多い場合はそもそも自動仕訳がされませんので、意味がありません。これらの点を踏まえて、比較的規模も大きくなく、かつ定型的な取引の多い業種(不動産業や薬局など)ではfreeeの有用性は非常に高いと思われます。

最後に

以上、私なりの感想を書いてきましたが、個人的にもう一つ気になっているのは大手会計ソフト会社の動向です。自動仕訳で話題になっているfreeeですが、弥生やTKC等の大手が追随する動きが一切見られません。おそらく大手は様子見の段階なのだと思います。そのため、今後、大手が本格的に参入してきた場合、その巨大資本を武器にfreeeを上回る高品質・低価格の会計ソフトを出してくる可能性も十分にあると思います。5年後、10年後、会計ソフト業界の勢力図はどうなっているのでしょうか。今後の業界動向に注視したいと思います。

 

公認会計士・税理士 品川耕輔