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過労死について

大手広告会社、電通の新入社員の過労自殺が労災認定されたニュースが波紋を広げています。この社員の毎月の残業時間が200時間を超えていたという報道もあり、事実であるなら異常としか言えない状況です。しかし、今回のニュース、決して他人事ではないのではないかと思い、過労死について調べてみました。

今回のニュースで理解しておくべきなのは、過労自殺が労災認定されただけであり、労災認定された=会社に責任がある、というわけではないということです。労災認定されたことは、死亡の原因が仕事にあると労働基準監督署が認定しただけにすぎず、会社に責任があると認められたことには必ずしもなりません。では、労災認定の線引きはどうなっているのでしょうか。

労災認定の流れ

厚生労働省が出している「脳・心筋梗塞の労災認定」によれば労災認定の流れとして、

①異常な出来事(極度の精神的・肉体的負担を強いられる突発的又は予測困難な異常な事態)
②短期間の過重業務
③長期間の過重業務

の3つについて、該当する環境が存在していなかったかを調査し、これらの環境と疾患の程度を総合的に勘案して、疾患が業務に起因するかどうかを判断するようです。
ここで注目すべきは③長期間の過重業務の目安として下記の記述があることです。

  • 月45時間を超えて長くなるほど疾患の発症と業務との関連性は強くなる
  • 発症前1ヵ月間に100時間または2~6ヵ月平均で月80時間を超える時間外労働は発症との関連性が強い

つまり、月80時間を超える残業を日常的に行っていれば、発症した際に労災認定される可能性が非常に高くなります。自分の監査法人時代を振り返れば、この月80時間という残業時間は決して異常な数値ではなく、人によっては習慣化しているケースもありました。

企業の責任と働き方

冒頭でも述べた通り、労災認定される=会社に責任があるということではありません。しかし、会社は従業員を雇用し、従業員に対する指揮命令権を得る以上、従業員の健康や安全に配慮しなければならない「安全配慮義務」が生じます。ならば、発症の原因が業務にあると認定された場合、会社にはその状況を是正する義務がありますから会社の責任がゼロであることは考えにくく、少なからず責任追及されることになります。
労災認定されるような事態になれば誰も得をしません。がんばるのはいいことですが、どのような働き方が皆にとって幸せなのかを考えることも忘れてはいけないと改めて感じます。

 

品川耕輔 公認会計士・税理士